筆者:徳山友(スポーツ科学部教授)
1.スポーツの試合におけるチケット販売促進策を考えよう!
あなたはプロ野球のチームで観客動員数を増やすための戦略をたてるマーケティング担当者です。チケット販売数を増やすためにどのようなプロモーション(販売促進)を実施しますか?たくさんのアイデアが考えられると思います。例えば、試合終了後の花火の打ち上げ、ビール半額Day、往年のスター選手カードプレゼント(非売品)、無料スイーツ付きチケット販売、などなど。プロモーション戦略を計画するとき、“なにを実施する”は重要なことですが、他にも熟考すべきことがたくさんあります。その一つが“誰に対して実施するか”という観点です。前述のそれぞれの例は誰を念頭においたプロモーションでしょう?

観客動員数を増やすために何をすべきか?

子供や家族セグメントへの効果的なプロモーションは?
2.セグメンテーション、そしてターゲット選定!
マーケティングプロセスの重要な位置づけである『STP』:セグメンテーション(S)?ターゲティング(T)?ポジショニング(P)は、マーケティングを効果的に実践するためのフレームワークです(*1)。特に個々のプロモーション実践においてターゲットを明確に設定することは非常に重要ですが、そのターゲットの選定はセグメンテーションをもとに行います。セグメンテーションとは潜在顧客群をニーズや属性をもとに細分化し各セグメントの特徴を明らかにするプロセスです。プロ野球も他のプロスポーツも同様ですが、スポーツファンは同じ特徴をもった1つのセグメントではなく、異なった特徴を有した多数のセグメントで構成されています。つまり、潜在顧客群がどういったセグメントで構成されているかを常に把握したうえで、個々のマーケティングやプロモーション実践において適切なターゲットセグメントを選定する必要があります。
プロゴルフトーナメントの観戦者を対象とした研究を紹介します(*2)。ゴルフの試合は、出場選手がラウンドする組ごとに一日を通して広大なゴルフコースの各ホールで同時にプレーが行われます。つまり、全選手のプレーを同時に観戦することができません。ファンは観戦方法(①特定の選手を観戦する、②特定のホールですべての選手のプレーを観戦する、③移動しながら様々なホールで観戦する)を自身で選択し観戦することになります。私たち研究チームはこの観戦方法によってファンの特徴が異なるのではないか、つまり、異なるセグメントとして捉える必要があるのではないかという問いをたて研究を実施しました。会場で観戦者へ提供されているサービス(①情報?ガイド標識、②グッズ?飲食販売の質?量?場所、③トーナメントスタッフによる人的ファンサポート など)に対する評価において、3つの観戦方法セグメントで相違がみられました。特定選手観戦セグメントは「情報?ガイド標識」、特定場所観戦セグメントは「グッズ?飲食販売の質?量?場所」、ホール移動観戦セグメントは「人的ファンサポート」を重要なサービスと評価しました(なぜこのような結果となったか、それぞれの観戦方法をとったファンを想像し考えてみてください。詳細は論文参照)。つまり、異なる観戦方法をとるファンによって重要視するサービスが異なることから、それぞれのセグメントのニーズに応じた内容でプロモーションを実践する必要があるということになります。下記*3では、セグメンテーションの他の事例を紹介しています。
3.スポーツの発展にスポーツビジネス人材は不可欠!
プロスポーツチームの組織構成は大きく分けて「チーム運営組織」と「ビジネス側面組織」で構成されます。プロスポーツは営利活動ですので、チーム強化策だけでなく、ビジネス側面の成功も非常に重要であり、実際にプロスポーツチームではたくさんのビジネスを担当するポジションがあります。現在、プロ野球やJリーグだけでなく、BリーグやSVリーグなどの比較的新しく、今後益々成長していく可能性を秘めたスポーツリーグがたくさんあります。スポーツの発展にはビジネス側面の人材が不可欠です。本学のスポーツマネジメントプログラムは西日本では最も充実しているプログラムと自負しています。日本のスポーツの更なる発展のため、澳门皇冠体育_皇冠篮球比分-赌场*官网でスポーツビジネスを学びませんか?
*1 徳山(2017)スポーツマーケティングにおけるSTP. <編著>仲澤,吉田. よくわかるスポーツマーケティング,ミネルヴァ書房,p104-111.
*2 Tokuyama, Greenwell, Deguchi, & Shinjo (2023-7). Perceived Service Quality and Overall Satisfaction: From a Segmentation Perspective Unique to Golf Spectators. Journal of Applied Sport Management, 15, 1-10.
*3 /news/2025-05-01-41159/
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